スパイ教室2巻#98

 『愛娘』にて結ばれる物語。
 ようやく読了しました。1巻が好感触だったら読んで損はない面白さです。ただしエピローグ後が思いっきり『次回を待て』なので3巻はよぅ、と悶々とします。以下ネタバレ感想。

 今回のミッションは、選抜された4人で暗殺者『屍』排除。というのは正しいけれど、本編は選ばれなかった4人が『屍』の協力者に挑む物語。与えられたミッションの真実は『屍』とその協力者の同時排除だったというオチ。

クラウス:世界最強のスパイ。優しさと誠意の塊にしてマイペース万能無敵。とはいえ1.5年近く無休はきついらしく微妙に精度が落ちている模様。ミッション開始以降はほぼ出番無し。
グレーテへのラッキースケベがあんなに美しいストーリーになるとは思いもよらなんだ。

グレーテ:愛娘。今回の主役兼ヒロイン。『灯』の参謀にして『選ばれなかった4人』。優秀ながら痣に起因した男性恐怖症故の落ちこぼれ。ラッキースケベで見られた痣(というかそれを克服せんとする心の在り方)をクラウスに「美しいな」と誉められたことで惚れる。というかそこまでグレーテに理解を示している癖に、何で惚れてるか分からんと宣うクラウス先生……。今回のミッションをクラウスに決意させる程度の頭脳と愛がミッション開始以降、メイドをこなしながらクラウスに成り変わるという離れ業を披露する。先生と『灯』からの愛に包まれてるようで何よりです。ティアに変な知識吹き込まれていたり、貧乳コンプレックスのダメージ受けたりで可愛い。

ジビア:百鬼。『選ばれなかった4人』。近接▪窃盗担当の脳筋。今回、ちょっぴり経歴が明らかになる。ギャングの親を告発したらしい重い過去持ちながら、大体リリィと漫才してる清涼剤。

リリィ:花園。『選ばれなかった4人』。毒のエキスパート。ジビアと漫才したり、グレーテの貧乳コンプレックス地雷を丁寧に踏みつけていく。オリビィエへの「隙あり」はわざとだったけど、素で言ったりするから困るドジっ?娘。

サラ:草原。『選ばれなかった4人』。動物使いの臆病。彼女の相方、鷹『バーナード氏』がいなければお陀仏だった。『バーナード氏』が怪我で済んでて良かった……。

ローランド:『屍』『潭水』。クラウス相手にライバルだの運命だの、おまけに二つ名が対だったりとあからさまなフラグを立てて回収された。もしかしたら伏線とか叙述トリック的な何かがあるかと思いったがそんなことは無い。まぁ『蛇』と関係性が無い時点で、ねぇ……。

オリビィア:『屍』の協力者。というか弟子或いは恋人()。ローランド含め、覚悟も愛も及ばない噛ませ。とはいえ『灯』の少女にとっては間違い無く格上。

ティア▪モニカ▪アネット▪エルナ:『選ばれた4人』。ミッションは無事終えたらしいが、ティアとモニカに何やら怪しい気配……前後の諸々が3巻で描かれる筈。早く見たい。

 
 作中では『選ばれなかった4人』となっていますが、グレーテの頭脳が今回のミッション方針を決めたように、『選ばれなかった』こと自体が、信頼の裏返しであり説得力があるのは、流石ですよね。その他にも大小の伏線がどっちゃり……テンポ良く読み進められる割には、(記憶力が無いので)伏線を見直したりのでなかなか読み終えるまで時間がかかりました。他愛の無いワンシーンがその局面に繋がるのか!みたいな発見や叙述トリックがこの作品の楽魅力的ですしね。

 ミッションは『排除』だったものが結果として『捕縛』でミッションクリア、『灯への裏切り』なるワードなどの謎を残す辺り、引きがイヤらしい(笑)。